【クローズアップ展示】西アジア海外調査速報2009:パルミラの発掘最新成果
2010年2月20日(土)~5月5日(水/祝) 【クローズアップ展示】 西アジア海外調査速報2009:パルミラの発掘最新成果 ―考古学調査における3次元測量の活用ー
奈良県立橿原考古学研究所が実施しているシリア、パルミラ遺跡の発掘成果をパネルで紹介します。
パルミラH号墓 3D写真 (写真提供:奈良県立橿原考古学研究所)
奈良県立橿原考古学研究所を中心とするシリア・アラブ共和国パルミラ遺跡調査は1991年から始まり、20年にわたります。
この間、着実な日本の考古学的手法による調査を行い、7基の墓を発掘し、2基を完全に修復復元してきました。遺跡現地では、墓が作られた姿そのままに広く公開しています。
調査開始時には電磁波による遺跡の探査を行って、シリア考古総局や外国調査隊に注目されたものでしたが、近年は3次元測量を導入して、7基目の家型墓の調査をおこなっています。
3次元測量は3D測量ともいわれるもので、遺構を数十万点の点で計測し、そのデータを3次元化するものです。建設現場などで活用されているものを、考古学分野でも応用しようという試みです。
地下式墓を3D計測すると、墓の構造や全体図が一目でわかります。
このように近年の考古学は、様々な学術分野との連携協力によって、遺跡や遺物からの情報をさらに引き出すことができるようになりました。この3D測量も新しい技術による新しい知見を生み出す大きな力だといえます。
このたび、橿原考古学研究所の全面的協力を得て、クローズアップ展示として紹介することになりました。その最新技術の成果を目のあたりにしていただけると思います。
※本展は奈良県立橿原考古学研究所による独立行政法人日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A) 課題番号20251008 「古代パルミラにおける葬制の変化とその社会的背景にかかわる総合的研究」(2008ー2011)の成果です。
開催にあたっては奈良県立橿原考古学研究所の多大なご協力を仰ぎました。
また、一般社団法人中近東文化交流協会にご協賛いただきました。